再婚で連れ子を養子縁組しないとどうなる?相続・苗字・保険証・養育費の違いと手続き【2026年】

この記事の要点
- 再婚しただけでは、連れ子と再婚相手の間に法律上の親子関係はできない。養子縁組をすると親子になり、相続人にもなる
- 養子縁組しない場合、子どもは再婚相手の相続人にならない。健康保険は、同居して生計を共にしていれば再婚相手の扶養に入れる
- 再婚相手が配偶者の子を養子にする場合、家庭裁判所の許可は要らない(役所への届出で成立)
- 養子縁組しない場合、子どもの苗字を親にそろえるには家庭裁判所の「子の氏の変更許可」が必要
- 離婚時に共同親権を選んだ場合、15歳未満の子の養子縁組には元の配偶者と共同での承諾が必要(反対されたら家庭裁判所が判断し、認められるのは子の利益のため特に必要な場合に限る)
- 縁組すると実の親の養育費が大きく減ったり、なくなったりする可能性がある
この記事は、法務省・裁判所・日本年金機構などの公開情報と法律の条文をもとにした一般的な説明です。個別の事情によって扱いが異なることがあるため、手続きの前に市区町村の窓口や家庭裁判所、弁護士などの専門家にご確認ください。
再婚しただけでは、連れ子と再婚相手は「親子」にならない
子どものいる人が再婚しても、それだけで再婚相手と子どもの間に法律上の親子関係が生まれるわけではありません。親子になるには、再婚相手と子どもが養子縁組をする必要があります。
民法では、養子は縁組の日から養親の嫡出子(法律上の実の子)と同じ身分になり(809条)、養親の氏(苗字)を名乗ります(810条)。子は親の相続人になる(887条)ので、養子になった子は再婚相手の相続人にもなります。
養子縁組する・しないで変わること
| 養子縁組する | 養子縁組しない | |
|---|---|---|
| 再婚相手との親子関係 | 法律上の親子になる | 親子ではない(配偶者の子) |
| 相続 | 再婚相手の相続人になる | 再婚相手の相続人にはならない |
| 子どもの苗字 | 養親(再婚相手)の苗字になる | そのまま。そろえるには家庭裁判所の許可が必要 |
| 実の親(元の配偶者)との関係 | 普通養子縁組なら、実の親との親子関係も続く | 変わらない |
| 実の親からの養育費 | 養親が先に子どもを養う義務を負うため、大きく減るか、なくなる可能性がある | 再婚しただけでは、すぐに減額にはなりにくい |
| 親権 | 再婚相手と実の親(配偶者)が共同で親権を持つ | 再婚相手は親権者にならない |
| 健康保険(保険証) | 再婚相手の「子」として扶養に入れる | 同居して生計を共にしていれば、再婚相手の扶養に入れる(三親等以内の親族として) |
| 税金の扶養控除 | 再婚相手の扶養親族になれる | 生計を一にしていれば、再婚相手の扶養親族になれる(3親等内の姻族として) |
| 児童扶養手当 | 再婚すると、養子縁組の有無に関係なく支給されない(事実婚を含む) | |
出典:民法(809条・818条・887条)、全国健康保険協会「被扶養者とは」、国税庁「No.1180 扶養控除」、児童扶養手当法。健康保険は協会けんぽの基準で、加入している健康保険組合によって扱いが異なることがあります。養育費の扱いは、父母の話し合いや家庭裁判所の調停・審判で決まります
どちらが正解ということはなく、子どもの年齢や気持ち、元の配偶者との関係、家族のこれからを考えて決めることが大切です。
養子縁組しないとどうなる?しないメリット・デメリット
養子縁組をしなくても、家族として一緒に暮らすことはできます。健康保険や税金の扶養も、同居して生計を共にしていれば再婚相手の扶養に入れます。違いが出るのは、主に相続・親権・苗字・養育費です。
養子縁組しないメリット
- 実の親からの養育費が続きやすい:再婚しただけでは、すぐに減額にはなりにくいとされています
- 子どもの苗字や戸籍を変えずに済む:学校や友人関係で苗字を変えたくない子どもには負担が少なくなります
- 子どもの気持ちが固まるまで待てる:養子縁組は後からでもできます。15歳以上なら、子ども本人が自分で決められます
養子縁組しないデメリット
- 再婚相手の相続人にならない:再婚相手が亡くなっても、子どもは財産を相続できません。遺したい場合は、遺言で財産を贈る方法があります
- 再婚相手は親権者にならない:法律上は「配偶者の子」のままです
- 親と子で苗字が違う:親が再婚相手の苗字に変わった場合、子どもだけ元の苗字のままになります。そろえるには家庭裁判所の許可が必要です(下の「子どもの苗字と戸籍をそろえるには」)
- 健康保険の扶養は同居が条件になる:養子なら同居していなくても扶養に入れますが、養子縁組しない場合は同居して生計を共にしていることが必要です
養子縁組しない人の割合は?
子連れで再婚した人のうち、何割が養子縁組をしているかを示す公的な統計は見当たりませんでした(2026年11月時点)。割合よりも、上の表のどこが自分の家族にとって大事かで決めるのが現実的です。
養子縁組の手続き
家庭裁判所の許可は要らない
未成年の子を養子にするには、原則として家庭裁判所の許可が必要です。ただし、自分や配偶者の子(孫など)を養子にする場合は、許可は要りません(民法798条ただし書)。再婚相手が配偶者の連れ子を養子にするケースはこれに当たるので、市区町村役場に養子縁組届を出せば成立します。
結婚せずに生んだ子の場合は、実の親も一緒に養親になる
配偶者のいる人が未成年の子を養子にするときは、原則として夫婦そろって養親になります(民法795条)。配偶者の「嫡出の子」(結婚していた相手との間の子)なら再婚相手だけで縁組できますが、結婚せずに生んだ子の場合は、再婚相手と実の親が一緒に養親になる必要があります。
出典:裁判所「養子縁組許可」。養子や養親が外国人の場合は、許可が必要になることがあります
15歳未満の子は、親が代わりに承諾する
子どもが15歳未満の場合は、法定代理人(親権者)が子に代わって縁組を承諾します(代諾、民法797条)。15歳以上なら、子ども本人が縁組をします。親権者とは別に「監護者」が決められている場合は、その人の同意も必要です(同条2項)。
2026年4月からの共同親権で変わること
2026年4月1日から、離婚後も父母が共同で親権を持つ「共同親権」を選べるようになりました。これにより、子連れ再婚の手続きにも影響があります。
- 養子縁組:共同親権の子が15歳未満の場合、縁組の代諾は父母がそろって行う必要があります。父母の意見が合わないときは、家庭裁判所に「親権行使者の指定」を申し立てることになりますが、認められるのは縁組が子の利益のため特に必要な場合に限られます
- 縁組後の親権:共同親権の子が再婚相手の養子になると、養親とその配偶者(実の親)が共同で親権を持ち、もう一方の実の親は親権者でなくなります(民法818条3項)
- 子の苗字の変更:15歳未満で共同親権の場合、子の氏の変更許可の申立ては、原則として父母が共同で行います
出典:裁判所「家事事件Q&A」、法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」、裁判所「子の氏の変更許可」
離婚時に単独親権になっている場合は、原則として親権者だけで手続きできます。ただし、次の2点に注意してください。
- 2026年4月より前に離婚した人も、元の配偶者が共同親権への変更を家庭裁判所に申し立てることができます(認められるかは子の利益の観点で判断されます)
- 単独親権でも、親権者と別に監護者が決められている場合は、その人の同意が必要です
自分のケースがどれに当たるかは、戸籍や離婚時の取り決めで確認しましょう。
養子縁組しない場合:子どもの苗字と戸籍をそろえるには
養子縁組をしない場合、子どもの苗字は自動では変わりません。親が再婚して苗字が変わると、親と子の苗字が違う状態になります。
なお、再婚相手が自分の苗字に変える形で結婚した場合は、親と子どもの苗字は同じままなので、子どもの苗字を変える手続きは要りません。
子どもの苗字を親(父または母)の苗字に変えるには、家庭裁判所の許可を得てから、市区町村役場に届け出る必要があります(民法791条)。子どもが15歳未満の場合は、法定代理人が代わりに申し立てます。家庭裁判所の許可を得た後に役所へ届け出ることで、子どもの戸籍も親の戸籍に移ります。
再婚で変わる手当・年金・養育費

- 児童扶養手当:母(父)の配偶者に子どもが養育されているときは支給されません。ここでいう婚姻には、届出をしていない事実婚も含まれます(児童扶養手当法)。養子縁組をするかどうかに関係なく、再婚すると支給の対象外になると考えておきましょう
- 遺族年金:遺族年金を受け取っている人が結婚すると(内縁を含む)、受け取る権利がなくなり、届出が必要です
- 養育費:再婚は、養育費の増額・減額を求めることができる「事情の変更」の例として、裁判所が挙げています。再婚したから自動的に止まるわけではなく、影響は養子縁組をするかどうかで大きく違います(上の比較表)。2026年4月以降に離婚して養育費を決めていない場合は、子ども1人あたり月2万円の「法定養育費」を請求できます
出典:児童扶養手当法(第3条・第4条)、日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」、裁判所「養育費に関する手続」、法務省(法定養育費)
手当や養育費が家計にどう響くか、子どもとの関係づくりのポイントは、子連れ再婚の記事でまとめています。
女性の再婚禁止期間は廃止された
以前は、女性には離婚後の一定期間は再婚できない決まり(再婚禁止期間)がありましたが、民法の改正により、2024年4月1日から女性の再婚禁止期間はなくなりました。
よくある質問
養子縁組すると、元の配偶者との親子関係はなくなりますか?
一般的な「普通養子縁組」では、実の親との親子関係もそのまま続きます。面会交流の取り決めも、縁組によってなくなるわけではありません。実の親との関係が終わるのは「特別養子縁組」という別の制度で、要件も手続きも異なります。
養子縁組しないと、子どもの保険証はどうなりますか?
実の親(自分)の扶養に入ったままにすることもできますし、再婚相手と同居して生計を共にしていれば、再婚相手の健康保険の扶養に入ることもできます(協会けんぽの場合、三親等以内の親族として扱われます)。加入している健康保険組合によって扱いが違うことがあるので、勤務先に確認してください。
子どもの苗字を変えたくない場合は、どうすればいいですか?
養子縁組をせず、子の氏の変更の申立てもしなければ、子どもの苗字はそのままです。再婚相手が自分の苗字に変える形で結婚すれば、親と子の苗字もそろいます。
養子縁組は後からでもできますか?
再婚と同時でなくても、後から届け出ることができます。子どもが成長してから本人の意思で決めるという選択もあります。